バイオハザード
バイオハザード
【ばいおはざーど】
- カプコンの「サバイバルホラー」。とにかくコワいアドベンチャーゲーム。
- 好きな人は好きだが、大半の人にとって手を付けたくないゲームの一つ。
- もとは「生物災害、生物学的危機」をあらわす言葉……っつーかマークが格好良い。
- ナンバリングシリーズ全5作をはじめ、移植・リメイク・派生を含め、あらゆるハードで多くの作品群が発売
されている人気シリーズ。また、「バイオ」のエンジンを利用してさらに「ディノクライシス」「鬼武者」
「デビル メイ クライ」といった亜種が誕生しており、名実ともにカプコンの柱となっている作品。
- 1996年3月22日に、プレイステーションソフトとして第一作が発売された。クチコミでゆっくりと販売本数を
伸ばし、一般的な作品と比べてハンデのある内容ながらミリオン超えとなった。
- 第1作ディレクターは三上真司。今でこそホラー好きとして知られ、部下にホラー作品を見させて勉強を促す
三上だが、彼自身ももともとは藤原得郎から「バイオ」を振られていた。藤原は「怖い作品は、怖がりじゃ
ないと作れない」と考えており、三上に「怖いの好きか」と尋ねたところ「嫌です」と答えてきたために
やらせることにしたという。
- そうして三上は第一作を新人教育も兼ねた「研究の場」として開発をスタート。当時カプコンで主流だった
格闘ゲームのような「画面上のゲージ」がない、パラメーター表示を極力なくしたホラーゲーム、というのが
大きなコンセプトであった。主人公の状態は「足を引きずる」などの動きでだいたいのところを表現し、
サブ画面を開くと情報が見られるという仕様はここからきている(それについても、おおまかに心電図が
緑・良好、黄・危険、赤・瀕死を報せる程度で、具体的な数値は見られない)。
- 最初は小さなチームだったが徐々に人材が合流し、本格的に開発が起動に乗ると、次のコンセプトはカプコン
過去の名作ホラー「スウィートホーム」のリメイク(現代的に手直し)となった。
- もともとプレステ参入に際しオリジナルタイトルを企画するにあたり、「スウィートホームでやりきれなかった
ことをやろう」というコンセプトだったことから、そこに行き着くのは自然な流れだったと言える。
- ホラーというテーマであることから大ヒットは見込んでおらず、藤原得郎によれば20万本いけばいいかな、ぐらい
の目標だったという。発売したら想定外のヒットになった、という。
- 技術的には当初、背景も含めてグラフィックはすべてリアルタイムで描く予定だったが、ハードのスペックや
カメラアングルの問題からマップは書き割りの1枚絵となった(この経緯に背景スタッフの集団大脱走事件が
あったとも言われている)。苦肉の策のこの仕様も、発売すれば「映画的」と賞賛された。
- とにかくこの作品が幸運だったのは、「制約上しかたなしにこうした」というものが、ことごとく恐怖の助長に
役立ち評価に繋がったことだ。とっつきにくいラジコン操作も「思い通りに動かせないもどかしさが恐怖に
繋がる」とされた。開発中においては「受け入れられればラッキー」というものでしかなかったのだ。
- ローディングの都合で、マップ間に挟まるドアの画面も恐怖感を盛り上げた。ここに「ギィ~」という効果音が
入るか入らないかで、評価は大きく変わったことだろう。
- ちなみに「バイオハザード」のシナリオを担当した岩尾賢一は後にスクウェアに移り、「パラサイト・イヴ2」
などを手掛けている。
- 幸運にもヒットタイトルとなった「バイオハザード」は、1998年1月に「2」を発売。ディレクターは、後に
「デビル メイ クライ」や「大神」などを世に出す神谷英樹。彼の初ディレクション作品となる。
- 最終的にダブルミリオンを突破し、大ヒット作となった「バイオハザード2」だが、開発には「1」以上の
紆余曲折があった。後進に道を譲り一歩退いた三上真司だったが、あるときチェックしてみると、どうしようも
ないぐらいにマズい出来に驚愕。とりあえず現状での開発中止と、作り直しに伴う発売延期を辞表まで用意し
会社に申し出た。結果、ダブルミリオンとなる作品になったわけで、三上のジャッジは正しかったのだろう。
- ↑なお、この際にボツとなったバージョンは「1.5」と呼ばれ、開発データは破棄されているが、一部の開発中の
映像はCD-ROM付き雑誌や、「1」のデュアルショックVer.に収録されている。また、「1.5」のエンジンを
稲船敬二が「もったいない」と引き取って作り上げたのが「鬼武者」である。
- 「2」は、まさにゴシックホラー的なジワジワした恐怖感が蔓延する「1」とは方向性を変え、大衆受けのする
ハリウッド大作映画のテイストになった(三上いわく、これが神谷の味とのこと)。2人いるメインキャラ
両方でプレイでき、双方をリンクさせ「片方のプレイ結果がもう片方に影響を与える」ザッピングシステムが
盛り込まれている。
- 1999年発売の3作目「バイオハザード3 LAST ESCAPE」は、国内では155万本に留まった。「2」からあまり
間を置かないで発売したことが、多少なりとも新鮮さを欠いたのだろう。また、次世代機の登場によって
プレステのグラフィックが既に見劣ってしまったことも影響している。プレイヤーを執拗に追い詰める
「追跡者」が登場。新たなシステムとしては、主にピンチに際して制限時間付きの選択を迫られる「ライブ
セレクション」を導入。
- 2000年にドリームキャストで発売された「CODE:Veronica(コードベロニカ)」は、実質4作目でありながらも
プラットホームの関係からか番外編とされている。次世代機で初めてリリースされた「バイオ」シリーズで
あり、グラフィックが飛躍的に向上。しかしPS2に先行していたとはいえ、DCでは歴代作品のような大ヒットは
難しく、約40万本の売り上げとなった(それでもDCでは全ソフトで2番目)。
- 思えばこの頃から、供給側(メーカー)とユーザーの間がギクシャクし始めていた。岡本吉起はインタビューで
「ベロニカの多機種移植はない」と明言していたが、セガのハード撤退(DC終了)に伴いPS2で「完全版」を
発売した。移植以外のなにものでもなく、ほとんどベロニカのためにという動機でDCを購入したユーザーから
非難を浴びた。ちなみにPS2のベロニカ完全版は時期を逃したのか、売り上げは33万本程度である。また、後に
ゲームキューブにも移植されているが、こちらは5千本ほどしか出ていない。
- 2001年、ニンテンドー64で発売予定だった「バイオハザード0」は開発中止となり、ゲームキューブ用に変更
された。同年、1作目をGC向けにリメイクし発売することを発表。同時に、以後「バイオハザード」シリーズを
独占供給することが三上真司の口から告げられた。その理由は「ゲームに対してストイックな任天堂と、GCの
開発理念に感銘を受けた。全面的に支持する」というもの。発表の席には任天堂の宮本茂を招きアピール。
任天堂としては「子供向け」と言われ伸び悩む当時の自社ハードには、願ったり叶ったりの申し出だったろう。
しかしこの発表はユーザーの間で大きな物議を醸す。
- ↑これを受け、PS2ソフトとされていた最新作「4」の開発を中止。なお、この時点での「4」は後に発売される
製品版の「4」とは別モノである。
- 2002年にはGCリメイク版「1」、および「0」が発売される。しかしリメイク「1」が27万本、「0」が40万本と
かつてダブルミリオンを超えたシリーズの新作にしては物足りない結果に。それがなければそこそこの数字
ではあるが、ユーザーやカプコン上層部(株主含む)はシリーズの行く末を不安視し始めていた。
- ↑そういった声は三上にも届いていたのか、「他機種でバイオの新作が発売されたら腹切りますよ」と公言した。
- しかしこの頃、カプコン作品の売り上げが不調となり(不動産事業での失敗も響いた)、頼みの綱と言わんばかりに
「バイオ」派生作品がPS2でリリースされた。具体的には「ガンサバイバー4」や「アウトブレイク」がそれで、
この頃になると言い訳のような弁解が述べられるようになる。
・ナンバリングシリーズはGC独占(だからガンサバやアウトブレイクはセーフである)
・GCでは独占供給するが、次世代機では分からない
- 最新作「4」は公約通りにGCでの発売がアナウンスされた。久々に三上自身がディレクションをしていることも
明らかにされ、同時に操作やシステムを一新した「フルモデルチェンジ」とのキーワードに期待が高まった。
- が、GC版「4」が発売される前に、後にPS2版も発売されることが発表され(しかも「より多くの人にプレイする
機会を供給したい」などと上から目線)、カプコンや三上の「公約破棄」にユーザーが激怒。カプコンが
「あれは岡本や三上が勝手にやったこと」という態度をとったことから、特に三上個人に「切腹しろ」などの
非難が集中した。「4」の発売を控えていたがこの頃から、雑誌におけるインタビューなどに三上が登場する
ことがなくなった。この「公約破棄」については、同時期にカプコンの経営が思わしくなく、上から「なぜPS2で
出さない」と言われたとか、株主総会で突き上げを喰らったなどの諸説がある。
- 2005年にGC版「4」が発売。既にPS2版が発表になっていたこともあって、リメイク「1」や「0」にも劣る
22万本という結果に終わる。PS3、Xbox 360での「5」発表を挟み、同年末に発売されたPS2版「4」は45万本
を売り上げる。
- 2007年、「4」をWiiに移植し発売(バイオハザード4 Wiiエディション)。これに際して久々にメディアに登場
した三上が、GC版やPS2版を購入したユーザーに対して謝意を表明した。GC版の時点から「4」が良ゲーだった
ことで、ユーザー(少なくともプレイした人の大多数)の怒りは既に沈静化していた。ちなみに、Wii版「4」は
約13万本売れている。
- Wiiの操作に特化した新作、および移植作を積極的に投下しながら、2009年にPS3、Xbox360で「5」を発売する。
両ハード合わせて、国内では約64万本を捌いた。
- 大ヒットシリーズだったのに「売れないゲームの代名詞」に転落。
- ↑という声もあるように、「このシリーズは売れる、俺たちの作ったものは売れる、ハードを移っても追いかけて
くれる」と作り手が錯覚してしまったのが、「バイオハザード」の不幸である。DCでリリースされた新作
「ベロニカ」、GC移籍1作目の「リメイク1」ともに40万本という数字からわかることは、ハードを買ってまで
追いかける熱心な固定ファンはそのぐらい(40万)だったのだ、ということ。あとはライトユーザーであり、
「自分の持ってるゲーム機で出てたから買った」に過ぎない。これを全部「バイオ信者」と作り手が誤解した
のである。他のタイトル同様、最初から「うちはマルチプラットホームです」と言っておけばよかった。
- よく言われる可能性として、ずっとプラットホ-ムをプレステに限っていたら、「バイオ」は今でもミリオンを
売れたのか?ということについては、決してそうは限らないであろう。「ゲーム離れ」が指摘される昨今、
気まぐれにゲームを買ってくれる人は減っている。また、人は刺激には慣れてしまう。いつまでも「バイオ」と
いうだけで喜んでくれるわけではない。
- それでも、カプコンの代表作であることに変わりはない。全世界でシリーズ4400万本以上売ってるわけで。
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- 最終更新:2010-11-01 20:45:23